今年は春からビルケンシュトックのことばかり考えております。
昨年大量に持っていたビルケンのサンダルのほとんどを手放してしまったこと、
スニーカーではなく革靴でもないその中間の靴が今の気分でありそれにビルケンが最適だと思う様になったこと、
それによってサンダルだけでなく手持ちのカジュアル用途の靴全てをビルケン中心に考える様になってしまったからです。
なぜビルケンのサンダルを手放してしまったか、それはナローウィズへ買い換えようと考えたからです。
これまで少しずつ進めていこうとしていましたがいつまでも進まず、遂には一年が経っってしまったので昨年思い切って全てを手放したのです。
ところがそこから一年間、手元に残ったきっかけともなる一足のナローウィズでなんだかんだ事足りていたまま、気づけば2020年の春を迎えていたのです。
なんだかコレクションのモチベーションが落ちていたところ、雑誌やウェブではビルケン、それも私がサンダルはこれだけで良いと決めて集めていたチューリッヒばかりをプッシュしているのです。
もはやこれから流行るだろうではなく流行らせるためのマーケティング記事としか思えない状況でしたが、それを目にしたせいでやる気が再燃しました。
ウィズについては、両方試せば迷う事なく決まると感じたのですがどうもそうではない人もいるそうです。
ちょうどノーマルウィズが一つだけ残っていたので比較してみたいと思います。
靴の幅の考え方
素人の私が言うのもおこがましいですが、日本の靴業界に関するものは歴史や現地の価値観に基づいたものではなく日本の業者とメディア記者が共に発展させてきた様に思います。
数十年前は靴業界も手探り状態で同時に素人でも現地の考え方に精通していた方がいたり、調査に基づく根拠のある情報であったはずでしたが、次第に伝聞されたことに主観が混じり尾ひれがつき、今では疑問に思う情報が当たり前の様に広がってきた様に感じます。
情報が手探り状態であったのは昔の話、ネット上にある情報が根拠である、となってしまったのです。
店員やライター個人の勘違いや裏付けの無い思い込みが今では業界全体へと広がっていると思うものがいくつもあります。
例えば最近は幅の事をワイドやワイズと言います。
英語で発音すればウィズですしワイズでは海外では通じないはずです。(幅の広い靴を持ってこられてしまうかも?)
昔はウィズとワイズ、雑誌や記事によりばらばらでしたのでヤレヤレと斜に構えていましたが、今ではウィズと書かれたものはほとんど見つけられなくなりました。
他にも、ハーフミッドソールのことをスペードソールと言う間違いもありますが、これは全く異なるソールを指しています。現地では通じません。
チャッカブーツを馬上競技で使っていたと言う情報も私の知る限り間違いです。
デザートブーツが砂漠に特化したブーツであることも間違いです。
踵から爪先までが一直線では無くカーブしている方が人間の足型をしっかりとなぞっており丁寧で手が込んだ良い靴だと言うのも完全に正しいとは言えません。(曲げるか真っ直ぐにするかは意図的であり機能が異なるとのことです)。
靴だけでなく、整体やスポーツのプロであっても各々で言う事が真逆であったり一貫性が無いことがあります。しかし靴に関しては歴史に基づいたものであるのできちんと検証してほしいと思ってしまいます。
ビルケンシュトックのノーマルとナローの比較
ビルケンのノーマルとナローですがかなり幅が違います。
爪先の幅だけでなく土踏まずの内外のくびれや甲の高さも大きく異なります。
両方とも同じフィット感と言う人は少ないのでないかと思いますので実際に試着さえできれば迷うことは無いはずです。
私の場合、ダブルストラップのチューリッヒであればノーマルは一番きつくしても少しゆるくて足がリラックスした状態とも言えますが、足首に一本のストラップで指先は袋状であるボストンは甲がゆるすぎてリラックスどころの話ではありません。
ここでレングスを下げてみると中指薬指小指の先がリブに乗り靴の先ギリギリはみ出す状態になります。足が固定できていないから前にずれているのでは無いかとシューレースで固定する靴も試してみましたが同様でワンサイズ下げることは明らかに小さいです。
ところがショップで測って勧められたサイズがいつもよりワンサイズ下げたこのサイズです。ビルケンの正規ショップすら熟練度が低ければ完全には信用できません。
最近はBRANNOK DEVICE社製フットメジャーを割と色々なショップで見ます。
フットメジャーの老舗と言うだけでなく見栄えがかなり良いので足のプロであるかの様に見えるからです。
信頼できる店員かどうかを確かめるには靴を履かせてもらうと何となく分かります。絞めてもらうシューレースがごく僅かにキツくしっかりと絞められていて靴がしっかりと足にフィットするのです。そしてきちんと脱がしてくれる所作からも分かります。
さて画像は左足がナローのモンクストラップ式のボストン、右足がノーマルでシューレース固定式のダンディです。指先のカーブが違うのが分かりますが甲の厚みもかなり違うため印象の差は大きいです。
ナローはいわゆるビルケンと言うぽってり感は控え目です。
ビルケンらしいと言われる爪先のオブリーク形状が抑えめでミッキーマウスの様な甲の高さもなく一般的なレザーシューズにリラックス感を足したと言う雰囲気です。
スニーカーでは無くレザーシューズですからビルケンと言えどもナローにすると少しかっちり感のある靴を履いている様に見えます。
サンダルではないダンディに関しては足首は細めでノーマルを選んでも靴紐でしっかりと足を固定することができます。足先はスカスカですがそれで歩きにくくなければ、指先を開放すると言うビルケンの方針通りでしょう。
もしくはナローでもきつくなければダンディに関しては形状の好みで選ぶことも可能かもしれません。ぽってりした爪先でカントリーチックな雰囲気が欲しいのかスマートなレザーシューズの様で大人な印象が良いのか。
ビルケンよりも上位ラインのタタミの方がさらに細身に感じられます。
同じモンクストラップで左足がタタミ、右足がビルケン、同じナローです。
タタミの方がコルクが30%多いためか土踏まずが高く他の部分に関しても立体感がより強く高低差が大きいです。
そのため足を入れると甲の高さに革が取られて幅が細く見えます。
爪先のカーブも異なり細く見えますが、それは製造上の誤差なのかもしれません。
他にもタタミは複数持っていますが私はビルケンよりも足にフィットして履き心地も良いです。
まとめ
ビルケンシュトックの幅選びですが、両方を試着してサイズも上下を比較して、場合によってはモデルも変えてみて、足に合うものを選ぶのが一番だと思います。
私はビルケンでベストのサンダルはチューリッヒだと思って10年かそれ以上チューリッヒだけを集めていましたが、偶然ボストンのナローを試着をしたことでモデルごとの履き心地の違いやデザインを気に入り使い分けようと思う様になりました。
なぜ今更なのかと言うと、チューリッヒのノーマル、ボストンのノーマル、その他ノーマル、と色々履いてきてチューリッヒのナローを履いた時、その違いに感動してチューリッヒナロー以外が目に入らなくなっていたからです。
ノーマルの時点ではボストンは全く足に合わなかったためナローのボストンを試すことすら頭にありませんでした。
それがメディアのチューリッヒ推しにうんざりして偶然足を入れて見たところ外見もフィット感も思ったよりもよかったのです。
結局試着をたくさんしなければ分からないことがあり、逆に試着をたくさんすることで考えるだけでは出てこなかった答えも見つかるのだなと思います。
頭でいくら考えていてもその根拠は想像の主観でしかなく感じることもありません。
ウィズの考え方についてもビルケンのドイツ本社に確認しなければ絶対に正しいと言う確証は得られない、とも言えます。
最後に一つ、最近手に入れた一番お気に入りのチューリッヒ(しかもタタミ版でビルコフローではなく本革、スタッズ 、ナローフィット)。当時別注品で今では買うことができません。本当は黒が良かったのですがスタッズが目立ちすぎず白は白で良いのかも。