今年の春からビルケンシュトックを買いあさっています。
そろそろいい歳なのでスニーカーは普段は履かない、と決めて辿り着いたのがビルケンシュトックです。
全体的にウォーキングシューズの様な野暮ったいモデルが多いビルケンシュトックなのですが色々見ているとちょっと興味深いモデルもあります。
そんななかついつい目が行ってしまうのがチロリアンシューズのパサデナです。
なぜか妙に心惹かれるパサデナが家に増えていきます。
ことの始まり
昨年末、ジャケット用とアウトドア用ナイロンパンツと言う両極端に合わせられる靴は無いかと言う靴探しが始まりました。
そしてそれらに合わせられるのならジーンズやハーフパンツ、その他パンツにも合わせられる様な一足になるのではないかとも思ったのです。
レザーシューズやレザースニーカーを検討し買い集めているなかで期待していなかったチロリアンシューズの汎用性に気づきました。
さらにビルケンシュトックの革靴を買い集めている中で、ビルケンシュトックのチロリアンシューズに出会ったのは必然だったのかもしれません。
チロリアンシューズとは
チロル地方の高原で働く牧童が履いていた靴を原型に作られた靴と言うことでソールも登山靴の様なタンクソールに頑丈なノルウィージャンウェルトもポイントです。
有名なのはパラブーツやクレマン、エシュンですが、エルメスで取り扱っていたこともあります。
国を問わずドレスシューズメーカーからワークシューズメーカーや登山靴メーカーまで幅広いシューメーカーにラインナップされています。
ビルケンシュトック パサデナ
ビルケンシュトックのパサデナは細かいディテールやシルエットがシーズンごとに変化します。
ある時は太い飾りステッチのついたカントリーライクなデザイン、ある時は補強パーツの多いデザイン。
最近は由来であるカントリーテイストを減らしつつも革靴感は残しスポーティーな低い爪先や、切り替えやパーツをシンプルにしたスニーカーとミックスしたようなデザインになってきています。
ソールはかつてのビルケンシュトックにあった別ブランド、歩くことに特化したフットプリンツを踏襲したものが使われますがこれもシーズンごとに変化します。
パサデナ自体が元々フットプリンツ ラインですがブランド統合した今でも時代ごとに小さな変化はありつつも同じ思想は受け継がれています。
一般的なチロリアンシューズの様なゴツさが無いことだけは常に共通しており、おかげで汎用性の高さは変わりありません。
私とパサデナの出会い
私の初めてのチロリアンシューズは超限定のパラブーツ ミカエルでした。
偏見なく色々な靴を試している時に出会い、想像以上にどんな服とも合う汎用性に惚れて、ハンドステッチを加えてカントリーテイストを増したモジーンやアザラシの毛を使ったミカエル フォック、エルメスに納入していたモデルまで買い足しそうになりました。
ところがしばらく履いているとパラブーツ自体が私にフィットしないなと気づいたのです。
2019年クリスマスはハンガリーで過ごしたのですが寒さ対策に厚手ラバーソールのパラブーツを履いていったのですが、どうにも地面に引っかかる感触が気になるのです。
パラブーツの最大の特徴でもある自社製ラバーソールですが地面に触れただけで強くグリップするほどで、そのせいで歩いていると妙に地面に引っかかります。特にソールが厚いとなおさらです。
悪天候ではむしろ安心でそれを望んで買うのですが、常に履くには私には癖が強すぎました。
そんなことがあっていくつものパラブーツを手放してしまいましたが、この時にチロリアンシューズの汎用性を知ることができました。
そしてビルケンの靴を集めている途中、パサデナと出会ったのです。
私のパサデナ
通常、チロリアンシューズは山岳地帯が出自のため登山靴と同様のソールが特徴です。しかし、このソールではカジュアルなトラウザーまでで、都会的なジャケットスタイルやスーツには合わせられません。
ところがビルケンシュトック パサデナは低く長い爪先や薄手のソールでもう少しだけスーツへ寄せることができ、さらにハーフパンツやアウトドアパンツも自然に馴染む汎用性があります。
さすがにパサデナでスーツは無茶だと思いますが少なくとも登山靴の様なラグソールやノルウィージャンウェルトよりはマシです。
汎用性の高さはナローウィズであることもポイントです。
爪先の丸さが強調されるパターンのチロリアンシューズなのですがナローモデルにすることで他メーカー以上に細身に見えます。
これは面白いことに、チロリアンシューズなのだから爪先に厚みや丸みを持たせようとする各種メーカーに対して、ベースがモデルごとに変わらないビルケンシュトックの場合、ナローウィズにチロリアンシューズを合わせることで通常よりもシャープになるのです。
手持ちのパサデナはグレインレザーです。
なぜならビルケンシュトックのスムースレザーは質が悪いからです。
スエードやヌバックもちょっと方向性が違い、おそらく限定?らしいグレインレザーのモデルにたどり着きました。
グレインレザーと言うと丈夫な革でワークブーツの様な存在と思われるかもしれませんが意外にも磨くと強い光沢を放ちドレッシーに見えます。
ローカットかハイカットかで悩みましたが、同時に目をつけていたプレーントウのメンフィスがローカットだったためパサデナはハイカットにしました。
ほとんど主観ではありますが双方ブラックのグレインレザーとした場合、メンフィスのハイカットはワークブーツの様でローカットはレザーシューズっぽい、パサデナはローカットだとスニーカーの様でハイカットの方が落ち着いたレザーシューズっぽい、と感じたからです。
これで目的は既に達成されたのですが、その後もビルケンシュトックのレザーシューズは追加されていく中で妙にパサデナに手が伸びてしまうのです。
同じグレインレザーですが、こちらはローカットでもスニーカーライクでは無いパサデナ プレミアム コニャック。
そして超限定のホーウィン クロムエクセルレザー チェリーのパサデナ。
ホーウィンといえば世界最高品質のコードバンを生産し有名な納品先はアメリカのオールデン、インディジョーンズが履いた靴としても有名です。クロムエクセルレザーは油分が多めで履き込んだ際の独特の風合いが特徴です。
磨いて履き込めばパサデナが格段にラグジュアリーになります。
新品時から既に通常のパサデナとは別格のオーラがあります。
その後
ナローウィズのビルケンシュトックはとてもお気に入りです。
世間で有名な一枚革のモンタナやサンダルではありません。元フットプリンツラインの裏革有りでソールも歩くことに特化したカップソール式アウトソールのモデルです。
オフの革靴として、エドワードグリーン 、トリッカーズ、ベルスタッフ 、パラブーツ と満遍なく欧州ブランドを揃えています。
さらにレザースニーカーとして日本のリプロダクションオブファウンドのジャーマントレーナーのアウトドア用とインドア用の二足(その前はオニツカタイガーのニッポンメイドでした)があります。
レザースニーカーと本格的なレザーシューズとの間を絶妙に埋めてくれるのがビルケンシュトックです。
他社には無いビルケンらしい独特のデザインのものを選ぶ様にしています(パサデナは除く)。
すっかりはまってしまいました。
その中でも集めれば集めるほど、見れば見るほどパサデナ ナローは素晴らしい一足です。
ビジネス用途以外でも靴が多すぎることに気がつきましたのでこれでしばらく靴は打ち止めでしょう。
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