個人的にジョンロブの大傑作のモデル、ジョドファーの比較です。
元々ブーツが好きですがジョンロブで一目惚れするモデルにはブーツが多いです。
その中でジョンロブでベストのブーツならこれだ、と言えるのがジョドファーです。
独特の外見と美しさ、ストラップ一本だけなのにしっかりと足を固定することができる機能性、気づけばブラックブラウンスエードと三足を所有することになりました。
モデル紹介
旧ジョンロブ236ラストのジョドファー 茶、8695ラストのジョドファー 黒、7000ラストのジョドファーII スエードです。
色よりもラストの違いが興味深いです。
クロケット&ジョーンズ(C&J)製ジョドファー
90年代前半まで製造されていたC&J製は革質が抜群に良く何とも言えないムラ感と透き通る透明感があります。
短靴では履き口の形状に難があるC&J製ですが、ブーツとなると木型、吊り込み、フィット感とパーフェクトな一足になります。
ヒールは小さめでアキレス腱にも吸い付く様なすぼまった洋ナシ型、ノーズは長めで足首は細め、足首手前からの急激な甲の立ち上り方が大変美しいです。
土踏まず部分も細く内側にえぐられておりこの部分に革の切り替えが重なることで疲れた時に土踏まずの落ち込みを防ぐサポートの役割にもなっています。
ギザギザのウィールを当てたコバの意匠もデザイン製が高くクラシカルです。
クラシカルさは丈にも現れており他二つよりも明らかに高さがあります。後年になるほど短くなっていきます。
8695ラスト ジョンロブ製ジョドファー
これは2000年以降のヒールがJLの馬蹄型ラバーがついたものです。
足首や甲幅が広いのでちょっと野暮ったいシルエットです。
8695のブーツは靴紐タイプのカントリーブーツの様なモデル向けでプレーンでエレガントなブーツには向いていないと感じます。
プレーンな紐なしブーツに関しては90年代中期以降は履き口にダメージができやすく注意が必要です。
これまで8695のサイドゴアとジョドファー、どちらもライナーの履き口前方が破れてしまいました。
履き口前方側は爪先まで折り目がつく様に強く山折りに曲がった状態で作られています。
足の動きで負荷がかかるのか、適度に馴染んだくらいでライニング側の縫い目からミシン目の様に切れてしまうのです。
ライニングの縫い目と余り革の余裕が無さすぎることや運針が細かすぎるのかもしれません。
この折り目ですがC&J製のライニングは中央でライニングが左右二枚に分かれている問題が起こりません。J.M.WESTONも同じ二枚革でセンターで縫い合わされています。
一枚革の90年代中期ジョドファーで問題が出ていることから理にかなっているのかもしれません。
手入れの問題も大いにあります。
綺麗な状態でもこの様なことが二足も起きたので以後ライニングの状態には注意し油分を頻繁に補給するようにしています。
8695のジョドファー黒は90年代の物を以前は所有していたのですがライニングの破れから2代目なのです。
7000ラスト ジョドファーII
スエードモデルはジョドファーIIです。
甲前方に切り替え(不況の時に発表されたのでコストカットだと疑っています)、ベルトループ付き、ロングノーズ、ピュータースエードとベルトは風合いの違うものが使われておりお洒落です。
ロングノーズで甲が丸みを帯びた高さのある7000はプレーンなブーツと相性抜群です。
甲の切り替えもベルトループも個人的には不要なのですがスエードなのでこの様な遊びのあるディテールも良いのかなと思います。
その後、革の供給が安定したのか甲が一枚革のモデルに引き継がれました。
モデル比較
上から比較
分かりづらいですが、やはりC&J製の土踏まずがかなり内側に追い込まれています。
8695は土踏まずが内側に追い込まれているというよりはボールジョイントの親指辺りが外に張り出している様に見えます。
8695の踏まず内外のくびれやボールジョイントから先端のカーブはとてもエレガントに見えます。
7000は甲周りに高さがあり丸みを帯びております。
足首から爪先まで真っ直ぐ伸びており爪先の形状は一番尖っている現代的なシルエットです。
履き口が他より狭くてノーズがさらに長く見えます。
後ろから比較
コバの張り出しは8695が一番です。90年代はまだそうでもありませんが00年代はヒールコバが張り出して現在はもっと張り出しています。
なぜか本品に関してはジョドファーIIは最後発なのにコバのハリが抑えめです。
ヒールカップの立体感や踏まず内外のえぐれも後ろからだとよく分かります。
コバの比較
90年代中期以降、ウェルトはフラットでプレーンなものとなっています。
90年代前期まではいくつかバリエーションがありましたがC&J製ジョドファーのヒール周りは独特でお気に入りのデザインです。
大きなギザギザが丁寧に靴と向き合い手仕事の温かみを感じさせます。
シャフトの比較
古いほど高さがあります。
足首のストラップとのバランスを考えると個人的には一番高いもの、C&J製が好みです。
ジョドファーIIは比較してしまうとブーティの様でクラシカルではなくカジュアルです。
まとめ
ジョドファーも時代によりシルエットが変化していきます。
それでもやはりクラシカルは良いものだと再確認させられる結果になりました。
C&Jの最も古いものが最も美しく好みです。
ジョドファーは甲が大きな一枚革、かつ甲の立ち上がりが急なので、磨いた時に靴に沿う光の反射にはうっとりします。
革質が良いからこそ磨きがいもあります。
これからも大切に履きたい靴達です。
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