久しく離れていたエドワードグリーンですが昨年春くらいから久しぶりに興味が再燃しました。
理由はブーツをいくつか手放したからです。
短靴はジョンロブ以外に履きませんがカジュアルウェアにジョンロブは合わないと言う決めつけにより、カジュアルな場面ではジョンロブ以外の革靴を履いています。
せっかくなので欧州靴の中で幅広く揃えてみたのですがどれもしっくりきません。
外見もそうですし履き心地でも何かがいまいちと感じてしまいます。
そんな時にふとエドワードグリーンに興味が出てきたのはサイドに翼の様な独特の切り返しが入ったブーツを見つけたからです。
その後一足は手に入れたのですが、この度対になるもう一足を手に入れたので比較してみたいと思います。
- 私とエドワードグリーンの今回の出会い
- エドワードグリーンとジョンロブ
- エドワードグリーン ゴールウェイ 〜edward green galway〜
- エドワードグリーン ネヴィス 〜edward green nevis〜
- エドワードグリーン VS ジョンロブ
- まとめ
私とエドワードグリーンの今回の出会い
元々、私とエドワードグリーンの出会いは旧エドワードグリーン チェルシーでした。
今では革質もかなり戻ってきたことやそもそも未経験の方が増えたので旧世代の革靴ついて語られることも少なくなってきましたが旧エドワードグリーンは今でも別格です。
ある日、偶然に立ち寄ったビンテージ屋に置いてあった旧エドワードグリーンのチェルシー、軽い気持ちで試着、それまで旧チャーチや旧旧チャーチを揃えていた私が全てエドワードグリーンに買い換えるべきと衝撃を受け、革靴にお金をかけるのもやむ無しと諦めにも似た覚悟をした瞬間でした。
その後ジョンロブを履き今に至るのですが、これは旧エドワードグリーンの履き口によるダメージで手放すことが何度もあったからです。
当時は古い靴独特のメンテナンス方法が分かっていなかったこともありますがエドワードグリーンの履き口は低めで履いていると負荷がかかりやすいのか気づくと裂けていたと言うことがありました。ジョンロブはヒールが大きく履き口も大きめなのです。
それからはエドワードグリーンからは遠ざかり、J.M.ウェストン、クロケット&ジョーンズ、パラブーツ、ビルケンシュトック、トリッカーズ、と物色したものの満足がいきません。
そしてようやく、再び順番が回ってきたエドワードグリーンで出会ったのがこの二足。
エドワードグリーンとジョンロブ
エドワードグリーンの特徴は複雑な立体感です。
足裏から足全体に沿う様に革を貼り付けたかの様な複雑な曲線によるフィット感があります。
特にシューレース付近の立体感は実物の足をトレースしたかの様に独特です。
歩いている時は足は複雑に動きますがあまりにもフィットしすぎるエドワードグリーンは慣らしの間はきしむ様に伸び縮みを繰り返して足に馴染んでいきます。
特にヒール、履き口、土踏まずは履いていると足が痛くなるほどです。
そのせいか一旦馴染むと革製の足袋を履いている様な感覚になります。
対してジョンロブはエドワードグリーンと比べれば極端な曲線ではなく滑らかにつないだ曲線がコンサバ的、底から大きく丸く包み込む様に広がっていて上面に行くほどにすぼまったひょうたんや洋梨のような形をしており締め付けすぎはしませんが足が浮く様な感覚もありません。光の反射が綺麗な一本線になるほどに考えられた美しい曲線です。
全体ががっちりとした素材使いで足を入れるとスキーブーツの様なフィット感です。
シューレースは靴を抑え付けるのではなく履き口を閉じる扉の様なイメージです。
ジョンロブを履いているとコンプレッションウェアを着ているかの様にぶれずレールに乗っている様な安定感があります。
正直、短靴に関してはジョンロブが断然好みですがブーツとなるとエドワードグリーンにも独特の安定感がありこの履き心地も悪くありません。
エドワードグリーン ゴールウェイ 〜edward green galway〜
ゴールウェイは好みのディテールがてんこ盛りの靴です。
まず目につくのはサイドの切り替えです。
内羽根の短靴においてはスワンネックと呼ばれる補強デザインが落ち目だったエドワードグリーンの人気復活に一役買ったと言います。アンティーク加工をいち早く取り入れたことも復活の理由ですが、今ではスワンネックもエドワードグリーンのアイコンの一つです。
ゴールウェイのサイドの独特の切り替えは白鳥が翼を広げたシルエットの様でスワンネックと対になるディテールなのではと妄想しています。これは実はスワンウィングでは無いかと思うのです。
スワンネックは内羽根にのみ使われるディテールでウィング(仮)は外羽根にのみ使われるディテールです。
このデザインはクロケット&ジョーンズにもガジアーノ&ガーリング、そしてジョンロブは内羽根にもありますがエドワードグリーンのバランスが一番好きです。
シャフトの長さや四つのフックは機能性もデザイン面でも好みです。
他にゴールウェイの爪先は実はイミテーションキャップトウでステッチだけのプレーントウであることも気に入っています。
一枚革のアンライニングなのですが革がアメリカのワークブーツの様に厚くてしっかりしてることも特徴的です。
アーモンドカントリーカーフと言う素材もジョンロブとは雰囲気が違いお気に入りです。この革は旧時代のものが格段に高品質です。
気に入らない点はオールアラウンドウェルトでは無いこととダイナイトソールであることです。またヴェルトトショーン製法のバージョンもあることからそれも羨ましいです。
このアッパーであればソールはリッジウェイやメドウェイソールくらいのボリュームが気分です。
ゴールウェイは履く度に愛着が増して、ユタカーフと呼ばれる格子柄の型押しカーフもいつかはと狙ってるほどです。
ゴールウェイはブラックだとただのストレートチップブーツの様に見えてしまい勿体ないです。
なぜかブラウンだと新鮮で相性が良いと感じます。
またコンビカラーと相性が良く奇抜な色の組み合わせも凄まじく格好が良いです。
社長が言っていた様に欧州で大人気であるのも納得の一足です。
次に買うブーツもゴールウェイかもしれません。
エドワードグリーン ネヴィス 〜edward green nevis〜
この靴はゴールウェイ以上に唸らされた一足です。
ドーバーが広めたスキンステッチの爪先、これをそのままブーツにした靴はジョンロブにもエドワードグリーンにもありますが、絶妙なバランス感覚によってジョンロブに軍配が上がると個人的には思います。
しかしネヴィスはそれを打ち砕く傑作、エドワードグリーンで一番気に入っているゴールウェイと双璧をなすモデルです。
ゴールウェイと違いフックが付いていない点は都会的でネヴィスに関しては気に入っています。
ウィングの様な意匠とスキンステッチの組み合わせはガジアーノ&ガーリングにも合ったかと思いますがガジアーノは私にとってキザ度が高すぎますのでこれもネヴィスに軍配があがります。
ネヴィスはブラックだとコマンドブーツの様な雰囲気もあるのですがブラウンになるとカントリーやハンターの雰囲気、もしくはアンティーク加工であればベルルッティの様に妖艶にもがらりと変わります。
個人的にはソリッドで力強さが際立つブラックが一押しです。
エドワードグリーン VS ジョンロブ
ブラックとブラウン、共にシボ革の二足のエドワードグリーンが揃いました。
馬鹿なことにそれと対局に位置するジョンロブも持っています。
シボ革のブーツが好きなのでしょうか。
ゴールウェイ VS モールトン
どちらもお気に入りです。
モールトンはネイビーバッファローであることやシャフトが意外に短めな点が気に入っています。
コマンドソールやリッジウェイソールの様に縫い目よりラバーが一段飛び出したデザインになっているオリジナルのアシュビーソールは剛性感が丁度良く、気持ちの良い履き心地です。
雨や雪の日によく履いていました。
ハードに使いすぎたせいか色々手入れをしたのですがいまいち革の風合いがよくなりません。
ライニングもヤレを感じます。
状態がよくなるまではお休みして今後も履き続けたい一足です。
そしてゴールウェイとのデザインの差を楽しみたいものです。
ネヴィス VS シャンボードII ブーツ
ネヴィスはハイトがありノーズが長め、それとストームウェルトであることでシャンボードIIブーツよりも大きく見えます。
画像だとネヴィスがかなり大きく見えますがむしろネヴィスの方がフィットします。
ゴールウェイではヒールカップが小さすぎて足のぐらつきやシャフトが細すぎて足首に食い込む様に感じたので今回はワンサイズあげて丁度良いサイズ感です。
シャンボードはIIになってからどうもイマイチです。
時期が悪かったのかアッパーもウェルトもミッドソールも?質が悪い気がします。
同時期のウィリアムもイマイチです。
ディテールとしてはヒール中央下部の縫い合わせマチが無くなってスムーズになったことがシャンボードがIIになって変わったことなのですが、それとは関係のない甲のフィット感がどうも落ちた気がします。
羽根付近の曲線がシンプルになり足に沿う感覚とは言えません。
シャンボードII ブーツはただブーツになっただけではなくて、シャフトが太いことやハトメ同士の距離が近いバランスは気に入っているのですがフィット感はいまいちよくありません。
ソールはダブルソールなのですがジョンロブ版ダイナイトスタッドソールと言うべきオクトーバーソールが柔らかすぎて安定感に欠けますしウェルトも柔らかすぎる気がします。
ネヴィスがあまりにも気に入っていることとシャンボードは先代も持っていることから、このままでは手放してしまいそうなのですがそれも惜しい気がします。
厚手の靴下を履けばフィット感は良くなりそうだし、リッジウェイやメドウェイソールに交換したら柔らかすぎる履き心地も改善しそうです。
ジョンロブでは最厚のSARソールも悪くなさそうですが貴重なストックを使って良いのか要検討です。
まとめ
飽和状態の革靴コレクションの中でも殿堂入り間違いなしの二足。
ジョンロブを揃えることに喜びを感じていましたが、それに飽きた時、もしくは飽きないスパイスになりそうな重要な二足です。
カジュアル用とは言いつつもったいなくてなかなか履けていません。
あと一足、コンビカラーをいつか手に入れる時のためにシミュレーションを続けています。
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