テロワールを求めて

趣味(靴、旅、道具、バイク等)を通して自問自答し理想の自分を導き出すまでの道すがら。

ジョンロブ プレステージライン ブラックオックスフォード比較 【PHILIP II VS GARNIER II VS BECKETTS】

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ジョンロブのオックスフォード(短靴で内羽根式のもの)において最もシンプルかつベーシックなものはCITY、そしてラグジュアリーなプレステージラインのPHILIP、この二つはジョンロブだけでなく全ての紳士靴にとって目指すべき最上であり普遍的で伝統的なスタイルでもあります。

さて2000年以降、ジョンロブの箱が茶色から黄色になった頃にジョンロブは新たな方向へと舵を切りました。

これまでの保守的なものからエルメスにも通じるデザイン性の高い靴が発表される様になりました。

紳士靴業界全体として、すでにデザインは出尽くしており伝統的な洋服文化も大きく変わらないことから、新たなデザインの靴を生み出すと言うのはとても難しいことであったと思われます。

ジョンロブは業界の伝統を担うものとして次の世代への橋渡しと言う使命感に日々新作を生み出す努力をしているとのことです。

たまにはハズレもありますが、この時期に生まれたプレステージラインの三足のオックスフォードはそれまでの伝統的なスタイルを維持しながらも新たに大変素晴らしい完成度でした。

もしブラックのオックスフォード、それもシンプルなものと言う縛りがあったとしたら、PHILIP II、GARNIER II 、BECKETTS、CITY II、そして画像にはありませんがスワンネックの変形ストレートチップのSTAFFORD、の計5足で一週間ローテーション、そんなことを妄想し少しずつ集めたこともありました。

今でもそれを考えるだけでうっとりしてしまいますが、実際に着用してみると何かが違っていたのでしょう。

気がつけば手元のブラックオックスフォードとして、ストレートチップのPHILIP、PHILIP II、ブラインドフルブローグのWARWICK、WIDNER、GARNIER、が残っています。

GARNIER II 、BECKETTS、STAFFORD、は全て残っていません。

見て美しいものと実際に自分が着用してしっくり来るものは違うということなのでしょう。

これは手放してしまった過去の記録です。

かつて憧れ、そして手放してしまったプレステージライン オックスフォードを手元に残ったPHILIPと比較してみました。

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3足の違い 

ラストが異なる、ノーズデザインが異なる、アイレットが異なる、と言う必要最小限の違いですが絶妙なバランスでお互いが補完し合っている様にも感じます。

アイレットが増えればノーズが短くなると言った単純な足し引きではなく、それぞれが単独でも最も美しいバランスであると感じられます。

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(ブラックと言いながら画像はPHILIP IIだけブラウン)

PHILIP II

PHILIP IIは全ての基準であるストレートチップ、スマートで都会的、完成されたデザイン、5アイレット、程々のロングノーズに流れる様に美しく丸みを帯びた7000ラスト、同じ靴は複数買わないと決めたはずなのに、手放すことができずスエードとブラウン、ブラックの三足、さらにボノーラ製も所有してしまった程の魅力があります。

海外のブログで興味深い意見だったのは、ブラックのストレートチップは一足あれば良いと言う記事です。

基本の一足であると言うのは冠婚葬祭にも使えるしとりあえずどんな場面でも間違いが無いからであって、そんなに黒くて凡庸な靴を何足も持ってどう履き回しますか?ただの自己満足でコーディネートをないがしろにしている、と言う意見です。

当時、私はどうにも内羽根のストレートチップが苦手だったのでこの意見には同意してしまいました。

もしジョンロブであるなら穴飾りのつくPHILIP IIはブラウン、よりソリッドなCITY IIでブラックを選ぶことをおすすめします。

しかし私はほぼ同じデザインのCITYは好きになれずPHILIPしか持っておりません。

どちらもブラック&ブラウン&スエードを所有しての結論です。

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GARNIER II

GARNIER IIはPHILIP IIのトウキャップを外したプレーントウ、より華美な6アイレット、履き口はシルクのリボンで飾られておりラグジュアリーでドレッシー、フォーマルなモデルです。

シンプルなのに目立つ靴です。

プレステージラインですがシームレスヒールではありません。

後継モデルのSEATONは履き口のシルクリボンを廃する代わりにシームレスヒールとなり、全体的にまとまりが良くなった気がします。

PHILIP IIよりもディテールではフォーマルな立ち位置であることが分かりますが、モードなデザインで普段のスーツやジャケットにも違和感がありません。

同じ7000ラストでもPHILIP IIよりも細く長く見えます。

あまりにも靴がエレガントすぎて8695ラストの旧モデルGARNIERを残しGARNIER IIは既に手元にありません。

二足持っておりましたがプラムミュージアムカーフのGARNIER IIはエレガントで全く見飽きない靴で、ブラックはモード感を強く感じます。

どちらも眺めたり磨いていると全く飽きず惚れ惚れとするのですが履くとキザすぎました。

結局、数年間で数回ずつしか履きませんでした。

所有するならばプラムやバーガンディ系がオススメです。この系統のカラーはプレーントウと相性が良い様に感じます。

ブラックであれば8695ラストのGARNIERの方が落ち着いており汎用性も高いと思います。

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BECKETTS

BECKETTSは斬新なデザインかつモードな一足です。

甲が低めで爪先から見ると菱形のセミスクウェアトウの8000ラスト、サイドの大きな切り替えが特徴で、内側は爪先側の前方パーツが上にかぶさっているのですが外側は踵側の後方パーツが上に重なっているという所有者にしか分からない遊びの効いたディテールです。

5ではなく4アイレットであること、ノーズの長すぎないバランス、スクウェアトウと菱形に張り出したボールジョイントの8000ラストを最も生かしたデザイン、シンプルなことで1パーツごとの革の面積が広く素材の美しさとディテールが絶妙にバランスした美しい靴です。

秋冬の重厚感のある服よりもスーツやジャケットの軽やかなスタイルに似合う気がします。

血迷って手放してしまいましたが、手放した靴で最も後悔している靴がBECKETTSです。

いずれ再購入をと思っていますが、ブラックにするべきかプラム系にするべきか悩ましところです。

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まとめ

それぞれを比較してやはり一番最初に買うならPHILIPが良いと改めて思います。

業種や趣味によってストレートチップが複数必要な方もいるかもしれません。

そんな時は二足目にはCITYのラバーソールがおすすめです。

雨だけで無く気分的に楽をしたい時にもラバーソールは活躍します。

デリケートなプレステージラインは歩くにも気を使います。

服装も状況も気にせず合わせられるCITYとラバーソールは最適です。

単純にラバーなだけでなくコバが張ったダブルウェルトのダブルソールであることも安心感のポイントです。

逆にストレートチップは二足もいらないよ、と言うのであればCITYが優先となるのでしょうか?もしくはラバーソールは外羽根ダービーモデルに任せて最高の一足にPHILIPを選ぶべきか?

お金も置場も無限でなければ、靴を選ぶ楽しみだけではなく、苦しみを乗り越える必要があります。

そんな苦しさを乗り越えても懲りずにまだオックスフォードが欲しいと思うならば次は上記の二つを検討してみてはいかがでしょうか。

 

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