JOHN LOBB ジョンロブ シューツリー コレクション
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季節が急に変わり秋の雰囲気が強まってまいりました。
そろそろ靴の衣替えです。
私の場合、ローファーを履く気分にならなくなったタイミングが靴の衣替えです。
まだブーツを履くのは億劫な季節ですが少し早めのこの時期がベストタイミングです。
靴を出してはしまいを繰り返しているとジョンロブのシューツリーもいろいろ集まったなと感慨深いものがあります。
年代は大まかな推測ですので間違っている場合もあります。
ジョンロブ シューツリー
まず最初に感じられるのは英国メーカーに比べてノーブルに見えることです。
英国靴や英国ダスコのシューツリーは踵部分に対して伸縮チューブよりも前方部分の頂点(レースステイの羽根の閉じるラインから爪先)が親指側にはっきりとずれている様に作られています。
実物の足を見てみると、踵の中心から足首前方を通り親指の腱が通る位置が一番高いラインを通っています。
ジョンロブは一見すると、踵の頂点、甲の中心(シューレースステイ)、爪先先端が一直線に並びシンプルな作りは簡素に見えます。
このため英国靴は足を考えられた作りをしており、踵から爪先までが一直線に並ぶジョンロブは高額なだけで本物の足の立体感が無く手抜きだと言う意見があります。
しかし実際はそうではないと感じます。
ジョンロブの靴もシューツリーも踵の中央から親指の上を通って爪先まで抜けるラインが一番高さのある作りになっているのは英国靴同様なのです。
しかし踵から爪先まで、レースステイの並びに沿って一直線に並ばないことは美しくないとジョンロブは考えたのではないでしょうか。
逆に英国メーカーはこのずらしを強調することで質の高さを強調しているのだと思います。
ジョンロブの靴もシューツリーも、踵〜レースステイ〜爪先が一直線に並んで見える様に作ってありながら、実は正面や斜めから見ると親指の腱を通る位置が最も高さがあり小指側に行くに従って緩やかに低くなっているのは英国靴同様です。
高さのある甲部分から指の付け根あたりまでは急激に低くなり指の付け根から指先まではなだらかに低く爪先へつながっています。
この親指の先から捨て寸部分でまた中央に寄っていきます。
踵から爪先までが一直線に見える秘密はレースステイ部分をそのまま履き口から足首中央辺りまで伸ばしていることにあると思います。
足首の中央までくれば親指の腱は脛の正面を通って膝の外へつながっていきます。
だからジョンロブのシューツリーは英国他社に比べてレースステイ部分が長いのだと思います。
ジョンロブ パリ ビスポークを見ても踵から爪先までが一直線であることはどれも統一されている様に見えるのでこれは美学でありハウススタイルなのかなとシューツリーを見ながらあれこれと想像してみたりします。
靴の入れ替えがなかなか終わりません。
旧ジョンロブ シューツリー ①
シューツリーとしては最初期のモデルかと思います。
自社製となりロゴからパリ表記が消える90年代半ばまでのシューツリーです。
今から30年近く前ということになります。
ニスはかなり薄くてほぼ塗られていない状態、ヒールの作りが絶品で洋梨の様に上方がキュッと細くなった形状は、踵からアキレス腱の形までなぞっているかの様です。
ジョンロブの靴を履いてまず感動したのがこのアキレス腱に沿う形状に靴が作られていることでした。
このシューツリーを使うことで靴が馴染めば馴染む程にさらに踵に沿った形になって履き心地が良くなっていきます。
低く長い爪先からレースステイ部分で急激に立ち上がりシワをすっきりと伸ばしてくれます。
土踏まずのえぐれも考えられており足裏から靴にぴったりと合います。
後のモデルに対してもこのシューツリーが一番フィットしますので私にとってはベースとなるシューツリーです。
旧ジョンロブ シューツリー ②
自社製になる直前、短い期間だけ作られていたシューツリーです。
私の好みでは無く、かつてはローファー専用に使っていましたが今は使っていません。
伸縮チューブを挟んで踵側が短く作られています。
可動域が狭く靴の出し入れで履き口に引っかかりやすかったりもします。
踵と持ち手部分が垂直に立ち上がっている点も外見の特徴です。
①よりもアキレス腱をなぞるカーブが控えめでコストダウンなのかなと思います。
前方部分は旧モデル同様の素晴らしい形状です。
素材は後のモデルと同じコルドヌリ アングレーズの様なテリ感があるニス仕上げで質感が良く耐久性も高いです。
ニス仕上げは吸湿性が低いと言われますが、コルドヌリは特殊な方法でこれを克服しているとのことです。
しかし本シューツリーの頃からなのかはわかりません。
旧ジョンロブ シューツリー ③
珍しいシューツリーです。
私は二つ持っているのですが他で見かけたことがありません。
形は①の形状に近くそれよりもごく僅かですが幅があり、そしてニス仕上げの雰囲気は②やコルドヌリのシューツリーの様で高級感がある雰囲気です。
どの靴にも素晴らしくフィットします。
①よりも幅があるのでこちらはローファー専用にしています。
旧ジョンロブ ヒンジタイプ シューツリー
伸縮がチューブではなくヒンジのタイプです。
ニスは塗り直したのですが、もう少し暗い色にすれば良かったと少し後悔しています。
ヒンジタイプは調整がしやすく慣れるととても使い勝手が良いです。
ヒンジタイプのシューツリーは出し入れしているとビスポークの様な気分になり満足感が高まるのもポイントです。
形状もビスポークの様で最も手がかかっています。
裏面は大きくくり抜かれているし踵の曲線の緩急、甲の立ち上りから爪先へ急激な低さといった立体感も他以上です。
幅が細いので、唯一持っているDウィズの靴に入れています。
裏面のくり抜きが凄いです。他のシェイプもかなり削り込んであります。
量産品とは思えません。
今後手に入るのであればもう一つ欲しいシューツリーです。
ジョンロブ シューツリー 95〜00年
ジョンロブが自社製となりロゴからパリ表記が消えた頃です。
シューツリーからもパリの表記が消え、パリ表記があるものを旧ジョンロブと呼びます。
この頃は箱がベージュだった最後の時代でベーシックなモデルが多いのですが傑作ラストが多いのが特徴です。
この時代を代表する8695、8896は私が最も多く所有しているラストです。
画像からはわかりませんが伸縮チューブを止める横のピン穴が埋められたのもこの頃からです。
ロゴプレートも面一に埋められているので持ち手の穴以外に引っかかりが全くありません。
他社のシューツリーは持ち手のノブを金属製の別体としますが、ジョンロブのシューツリーは指をかけられる穴が開いているだけの独特のシンプルさがあります。
作りとしては踵がそれまでより大きくなりアキレス腱に沿うくびれがなくなりました。
甲も幅が広くなり淵は厚みのある丸みを帯びた形状です。
8695ラストをベースにしているとのことですが新品時にサイズがちょうど良すぎるせいなのか履き馴染んだ甲シワがいまいち伸びません。
他が十分にあるので私は今は使っていません。
一見すると同じ様に見える旧ジョンロブ シューツリー①、②、③と95以降ですがロゴプレートの表記以外にも違いがあります。
上から見た時の伸縮チューブ辺りの左右からのくびれ、裏面土踏まずのくびれ、前方部分のボールジョイントの広がりやノーズの長さ、甲から爪先までの高さの変化等、古いものほど差が大きく立体的です。
踵部分の持ち手の違いは最も大きな特徴で一目で分かります。
アキレス腱部分のくびれや長さが古いものほど長く立体的で美しいです。
ジョンロブ シューツリー 00年代 イヤーモデル
00年代、靴箱が黄色になるとシューツリーに使われる金属は銀色になります。
ウィリアムや他のモンクストラップに使われるバックルも基本的に金色から銀色に変わりました。
これによって、ジョンロブの靴はますますノーブルでエレガントになり伝統工芸品的な靴からラグジュアリーなブランド品としての雰囲気が増していきます。
持ち手は別体ノブ式で、ダスコ製シューツリーと同じ仕様(工場も一緒だと思われます)で他の英国メーカーのシューツリーと似た雰囲気になります。
素材はブナ材からライム材に変わって色は白くノーブルな雰囲気、重量はかなり軽くなりましたがぶつけるとすぐへこみ耐久性は低くなりました。
この時期のシューツリーはイヤーモデル専用シューツリーのみ所有しています。
ダスコのハイグレードモデルと同様に美しいローズウッド色と透き通った木目と光沢は黒い靴にぴったりなのです。
外見は同じ様でも素材はブナ材と後期のライム材がある様です。
この時代も8695をベースにしている様なので8695ラスト、ブラックレザー、オックスフォード専用にしています。
本当はシティがイメージにぴったりなのですが残念ながらフィリップと違いシティはなかなか手元に定着せず、プレーントウのガルニエ、ブラインドフルブローグのウィドナーに使っています。
色を変え素材を変え何足手にしても定着しないシティは諦め、ディテールが盛られていて満足感が高そうなガジアーノ&ガーリングでも良いかなと最近は思っています。
ジョンロブ シューツリー 現行 前期
最新の持ち手が一体化したU字タイプです。
7000ラストがベースの様ですが8695ラストにも一世代前のモデルよりもシワが良く伸びる気がします。
焼印のロゴが美しいですがニスが塗られていないのですぐ汚れます。
メラミンスポンジを使えば簡単に落ちますが面倒です。
どうも簡素で満足感が低く、炭黒、ローズウッドに塗ってみたりラグジュアリー感は高まらないものかと試行錯誤しています。
ジョンロブ シューツリー 現行 前期 ウィリアム
ウィリアム専用のシューツリーです。
ウィリアム専用9795ラストがベースの様で通常よりも少し太めで内振りが強いです。
ウィリアムに他のシューツリーでも全く問題ありませんが気分の問題です。
ちょうどドレッシーなブラック ミスティカーフのウィリアムを手にした直後だったので高級なロゴ入りはグッドタイミングです。
ブラックと相性が良いと感じているローズウッドに加工しました。
このロゴ入りウィリアム専用ツリーはほんの数年だけで今はウィリアムのロゴが無くなってしまいましたので実はとても貴重です。
ジョンロブ シューツリー 現行 前期 フォーマル
フォーマルなモデルに限定でつけられていたモデルです。
このシューツリーを目当てに古着でオペラパンプスを購入し靴だけ手放してしまいました。
傷がつくと色がはげやすいのでクリアニスを薄く塗っています。
木目がかなり控え目な塗装が手持ちの中では珍しいです。
プレステージラインのブラインドフルブローグ ワーウィックに使用しています。
ジョンロブ シューツリー 現行 最新
かつてない簡素化の極みを感じさせるシューツリーです。
一つ前のシューツリーとはロゴが違うだけの様に見えますが削りも甘くなったのかフィット感が少し落ちました。
なんとなくエッジが立っていない気がしてぼんやりとした印象があります。
ロゴのデザインもそうですが前期の方がキリッとして格調高い雰囲気がありました。
ジョンロブ ブーツツリー
ダスコが一時期作っていたブーツ用ツリーです。
ロゴプレートは埋め込まれ、伸縮チューブのピン穴が埋められて面一になっているところがダスコ純正とは違い、さすがジョンロブと思わせる手の込んだ部分です。
今はコルドヌリか日本の企画でしかブーツツリーは作られていない様ですが、最も汎用性が高く甲をしっかり伸ばせていたのがこのダスコ製ブーツツリーです。
チャッカブーツ、サイドゴアブーツ、編み上げブーツ、等ブーツは甲の作りや履き口の広さ等に差が大きく、汎用的なブーツツリーとなるとなかなかぴったりハマることがありません。
J.M.ウェストンではブーツ用ツリーを準備していながら短靴用を勧めてくるほどです。
このブーツツリーであれば甲シワをしっかり伸ばし、甲から履き口までしっかりとテンションをかけて足首周りのシワまで伸ばしてくれます。
ジョンロブ、エドワードグリーン 、トリッカーズの全てのブーツに使用していますがどのブーツにも見事にフィットします。
今は廃盤、その性能の高さから中古市場ではかなりの高額で取引されているのですが状態が良いものを見つけてはストックを増やしてきました。
今は予備もあり今後ブーツを増やしても十分な数が揃ったと思います。
まとめ
ローファーをしまいブーツやスエードの靴を出していたはずでしたがシューツリーを眺めているうちに気づけば作業は打ち切り、後日になっていました。
夏に履くローファーの清涼感、冬のブーツによる足首の暖かさや快適さも履かないと分かりません。
どちらも革一枚でこれほどに変わるのかと驚くはずです。
靴の衣替えは周りにも勧めたいとても良いアイディアだと思います。
それと同時に、これから履く靴よりもしまう靴の汚れを落とし油分を補給し直すことも大切です。
痛んだ靴もちゃんとした道具で手入れをして一年寝かすことで見違えるほどに状態が回復します。
シューツリーは入れないで保管している方が中が湿気らないと思うので乾燥剤と一緒に保管すると良いです。
私の様にシューツリーは集めすぎないで、履く靴と入れ替えることをお勧めします。
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