テロワールを求めて

趣味(靴、旅、道具、バイク等)を通して自問自答し理想の自分を導き出すまでの道すがら。

新しい靴を購入 〜 Tricker's トリッカーズ SHEENE モーターサイクルブーツ ディアスキン×グレインレザー 〜

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急に冷え込む様になり2020年の終わりを考え始めたこの頃です。

今年一年も相変わらず靴について考え続けていました。

最も大きく変わったのはビルケンシュトックの靴を買ったこと。

ずいぶん熱狂して買い集めてしまいましたが、ようやく冷静になってきてサンダルほどは良くはないなと言う印象です。

コルクの中底は足にフィットすると言いますが、アッパーの作りはいまいちで中底にぴったりと足が張り付くフィット感が得られるわけではありませんでした。

結局、重い脱ぎ履きが面倒等の意見はたくさんありますが普通のブーツの方が私にとっては歩きやすいし足にもフィットして履いていて気持ちが良いです。

ビルケンシュトックの靴を履くのは映画や飛行機の様なリラックスした場面という位置付けになりました。

そんなビルケン祭りと並行して今年一年ずっと考えていたブーツをついに購入しました。

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Tricker's トリッカーズ SHEENEモーターサイクルブーツ 別注

今回購入したブーツはトリッカーズのモーターサイクルブーツ シーン(SHEENE)です。

これまでにベルスタッフやインディアンモーターサイクル、コムデギャルソン等のコラボモデルとしてシフトガードが付いたモデルが扱われたことはありましたが、こんなキワモノがなぜか日本正規トレーディングポスト取り扱いとなりました。

あまりにも変わり種なのでレギュラー展開にするには違和感が凄いのでこれっきりかもしれません。

前向きに捉えれば、ライダーが本格的なブーツを探しているのなら他ブランド含めても間違いなく最初に推す品ができたとも考えられます。

選んだわけは

これまでトリッカーズはサイドゴアブーツのヘンリーを愛用してきました。

前評判の硬い履き心地と言う情報には拍子抜けですぐに馴染むし全然硬くもないという印象でした。

紐の無いサイドゴアブーツですがシャフトが細く長く作られており革は厚手で剛性感がありフィット感が良いので長時間履いていても疲れません。

大味な作りや素材を想像していたのですが、予想外に良い風合いの革だし踵や土踏まずのフィット感も良い、スーツ以外には様々な服装に合わせられてこれを履くだけで英国感が出せます。

思ってもみなかった満足感で、馴染んだ直後からもう一足を探し始めていました。

ダイナイトソールよりもコマンドソールの方がイメージに近いと言う思いがあり、次はコマンドソールでと考えていました。

同じモデルを買うのもつまらないのでまずは代表的なレースアップブーツのモールトンを購入してみたのですが、どうにも馴染むと羽根が完全に閉じてもまだ緩くサイズを落としてもそれは変わらずでモチベーションが下がってしまいました。

ローカットのバートンはモールトンよりもシルエット自体も好みだったので手を伸ばしかけた時もありましたが、ローカットならばパラブーツやオールデンもあるしトリッカーズで良いのかと悩んで結論が出ず。

結局パラブーツもオールデンもイマイチで再びトリッカーズを物色し始めたもののモールトンの件もあり、これ以上革靴を増やす口実や決め手に欠けた状態でした。

結局シーンを入手するまで一年以上はかかりましたが、その間も画像検索は続けトリッカーズへの思いだけはつのらせていました。

その際、いつも印象的だったのがシフトガードが付いたモデルでどれも別注の限定品、既に購入できないか国外で販売されているものばかりでした。

そんな時にシフトガード付きコマンドソールの別注品が傷あり訳あり一点物で安く出ていたのでこれはと思い即購入となったのが本品です。

日本正規取り扱いのシーンは左側にだけシフトガードが付いている左右非対称デザインですが私の購入品は左右にシフトガードが付いています。

別注だからと言うわけではなく海外向けのシーンはそれが標準の様にも思えます。

実際にシフト操作は左足だけなのでそれでも事足りるのですが、デザインとして左右非対称の靴はカジュアルすぎると思います。

カジュアルブランドのネペンテスは何度も左右非対称デザインのトリッカーズを別注で出していますが、正規店がそれでは企画のセンスを疑ってしまいます。

ラストは爪先がぽってりとした厚みがありミリタリーブーツのテイストも入っています。

薄くて平べったいモールトンとは異なる様ですが同時に比較していないので何とも言えません。

紐をぎゅっと絞めても羽根はわずかに隙間が開き足首も細く感じます。

仕様

Tricker's トリッカーズ SHEENE シーンの特徴はこちらです。

初めて心惹かれたシフトガード付ブーツはベルスタッフ別注品だったのでそれとも比較しながら見ていきたいと思います。

  1. 爪先のウィングチップの上にシフトガードがついている
  2. ディアスキンとグレインレザーのコンビ
  3. 9ホールのロング丈
  4. 足首の後部にストラップとバックルがついている
  5. シングル仕様のコマンドソール
爪先のシフトガード

爪先のシフトガードが最も特徴的です。

穴飾りが付いてウィングチップの上から重ねている点が他ブランドには思いつかないトリッカーズならではのアイディアです。

ベルスタッフ別注は内側から外側までバンド状にシフトガードが覆っていますがそれだと下のウィングチップを全て覆ってしまい強引なやり過ぎ感を感じます。

シフトガードを意識してウィングチップもちらりと見える本品形状の方が気に入っています。

シフトガードと爪先に厚みのあるラスト形状のためかノーズが短く見え無骨さが強調されているのも良いバランスです。

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ディアスキンとグレインレザーのコンビ

元々ディアスキンもグレインレザーも大好きです。

柔らかいディアスキンをシャフトや甲全体に使い、爪先や踵、シフトパッドやハトメ周りの補強には硬いグレインレザーを使っています。

コンビは昔から好きなのですが結局合わせにくくて眺めて磨くだけ、そのうち手放すことを何度も繰り返してきたので異素材同色コンビは理想的です。

昨今流行りのサスティナブルを意識しているのか、オリーブオイルでナメしたワインハイマー社の最新レザー「オリヴィア(Olivvia)」を使っています。

トリッカーズとの共同開発で今は専用とのことです。

ワインハイマーと言えば伝説のカールフロイデンベルグの後継なのですが質は段違いでカールフロイデンベルグの再現は絶対に無理だと当時から感じていました。

それに囚われずに良い質のブラックボックスカーフで評価を積み上げオリヴィアの様な新しいことにも挑戦していることはとても好感が持てます。

手入れもオリーブオイルをベースにしたワックスで行なっていますので、ガラスで覆った様な不自然な厚塗りワックスの光沢にはなっていません。

履き込んで手入れをしていくことで表情の違いがはっきりしてきて面白くなりそうです。

 

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9ホールのロング丈

トリッカーズのブーツというとモールトンの7ホールのイメージです。

シーンは9ホールなのですが脱ぎ履きの際に上二つのホールから紐が抜けてしまいます。

抜けない様に紐を長くすると紐を絞めた時に余りすぎてしまいます。

脱ぎ履きに少し手間がかかり歩きやすさを考えると7ホールの方が良い気がしますが、外見のバランスはシフトガード付きのライダーブーツに7ホールだと短か過ぎる様にも思えますのでここは我慢です。

足首後部のストラップ

画像検索しているときは足首後部のストラップはない方が良いと思っていたのですが、見慣れてくるとあった方がバランス良く思えてきます。

しかしバックルの形状とシルバーの色が男臭い全体の雰囲気と少し違うのが気になります。 

バックル側のストラップはゴムでできており伸縮するので足首を締める効果はありません。

飾りなのかこれでも機能するのかは謎です。

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コマンドソール(シングル仕様)

ソールは念願のコマンドソールです。

本当はダブル仕様が良いのですがストームウェルトとコマンドソールの組み合わせはボリュームがありミッドソール一枚程度の差はさほど気になりません。 

シングル仕様だとかなりの屈曲性で歩きやすさはダイナイトソールのダブル仕様よりも良いかもしれません。

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手持ちのトリッカーズと比較

お気に入りのヘンリーと比較して見ました。

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シルエット(木型)

手持ちのサイドゴアブーツ ヘンリーと比較して爪先がぽってりしていてエッジの高さもあります。

シフトガードも付いておりノーズが短く見えます。

個人的にはヘンリーやバートンのラストが好きなのですが、バランスを考えるとこのラストが良いのでしょう。

気分で履き替えるには違いが大きい方が使い分けてる感があります。

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ハイトの高さ 

ヘンリーはサイドゴアブーツとしては他ブランドと比較しても高さがあるのですがそれよりも高いです。

ヘンリーより親指の厚み程度は高さがあります。

ドクターマーチンの様な雰囲気でしょうか。

パンツを大きくロールアップして着用したいです。 

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ソール

コマンドソールはボリュームがあるので、ダイナイトソールのダブル仕様と比べても薄く感じることはありません。

逆に言えばミッドソールの僅かな厚みが増えたとしても雰囲気は大して変わらないかもしれません。

それでもやはりコマンドソールはダブル仕様にこだわりたいです。

ヘンリーと比較して爪先に厚みがあるラストはコマンドソールと合わさって無骨でミリタリーな雰囲気があります。

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今後のカスタム予定

特徴ある変わり種ブーツですから、自分のこだわりも突き詰めて反映していきたいです。

アイレットをフックに

9ホールは脱ぎ履きがしづらいのですが、フックにするとものすごく脱ぎ履きがしやすくなります。

屈曲しない足首よりも上、色々見ていると上段四つが良さそうです。

これは道具を揃えて自分で行う予定です。

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バックルを無骨なものに

バックルは細いスクウェアタイプ、色は艶消しのブラックに交換予定です。

ベルスタッフ別注は同社ライダースジャケットに使われるものと同じものを使っている事に唸らされます。

ジョンロブのバックルも理想的な形をしていますので両社のイメージに近いバックルに変えるつもりですが、まずは艶消し塗装を行い様子を見てみます。

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ソールをダブル仕様に

ヘンリーと比較してわかる様にシングル仕様でも違和感はありません。

ですがフルウェルトとラバーソールにはダブル仕様と言うのが私のこだわりです。

かつてはどのシューメイカーもそうだったのですが、ここ数年は使用者がコンフォートなものを望んでいるのかシングル仕様のラバーソールをちらほら見かけます。

いつになるか分からないソール交換時にはダブル仕様のコマンドソールに変更を予定しています。

おそらくヘンリーの方が先にこの仕様になりそうですがビジネスに違和感が無いかは吟味する必要があります。

サイドゴアブーツでダブル仕様のコマンドソールにしても違和感が無いのはトリッカーズのヘンリーだけだと思うので実現したいと強く思っています。

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おまけ

ジョンロブのフルブローグダービーブーツ グロスターとの比較です。

フルウェルトのダブル仕様ダイナイトソール、フルブローグダービーですがトリッカーズと比較すると圧倒的にドレッシーです。

ジョンロブのそれぞれの靴、ジョンロブとそれ以外のブランド、お互いがお互いを補完する関係が理想的です。

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