クリスマスプレゼントにおススメ 〜ポーラテック サーマルプロ ハイロフト フリース 〜
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ここ数年、パタゴニアのレトロXジャケットが大人気です。
昨年まではシーズン中にも買えずプレミアがついておりました。
レトロXに限らず90年代ストリートファッションの様にフリースが街着として復活してきた様に思います。
しかし個人的に納得いっていないことはフリースがあくまでレトロな雰囲気のリバイバル扱いであることです。
すでにインサレーションに地位を奪われレトロな素材だと思っていたフリースは、実はずいぶん前から劇的に進化を遂げていたのです。
それを感じさせてくれものがポーラテック サーマルプロ ハイロフトになります。
私は10年ほど前、インサレーションの保温性や重量等の進化と、その真逆のデメリットを持つフリースに時代遅れを感じて一切フリースに興味を持たなくなっておりました。
保温性はまあまあだが汗が肌に残り、意外に固くて重くてかさばるフリース、対して防風性と保温性がありながら軽くて柔らかくてかさばらないインサレーションはインアウトに着用できて飛行機の椅子に座っていてすら気にならない着心地だったのです。
その数年後、ふと手にしたポーラテック サーマルプロ ハイロフトと言う見慣れないフリースはかさばらずしなやかな肌触りでフリースの欠点を解消していたのです。
冬の室内着としてはこれ以上ない性能で、それからちょくちょく買い足す様になっていました。
今では一家に一枚、誰にでもオススメしたい道具の一つになりました。
ただの部屋着には高価すぎると思われるかもしれませんが、寝巻き 、室内着、インナー、アウター、アウトドア以外の真冬のどんな場面にも使えます。
防寒性が足りないアウターであってもサーマルプロをインにすることで着用場面が増えますし、アウターを増やすより汎用性も高いです。
インサレーションやダウンを持っていてもそのインに着ることもできます。
ポーラテックとは
ポーラテック社は19世紀、モールデンミルズ社と言う名前で生地を作っていたメーカーです。1950年代にフェイクファーが流行し起毛ポリエステルを大量に扱っていたが、それも頭打ちとなったところパタゴニアの創設者に見初められ共に開発を進め完成したのがフリースです。
いわゆる羊の毛の様なものが従来のフリースでしたが、山羊の様な毛のサーマルプロ ハイロフトは段階飛ばしで進化した様な驚きの性能があります。
http://www.challenge-21c.co.jp/polartec/index.html
ポーラテック サーマルプロ ハイロフト(Thermal Pro High Loft)
ポーラテック史上最高の暖かさということですが、それだけではありません。
従来の弱点であったかさばりや重量を解消しております。
クタッとして極上の柔らかさはマイクロファイバー毛布に似ています。
保温性、透湿性も抜群、アウトドアからインドア、寝巻きにまで使えます。
ポーラテック パワーストレッチ (Power Stretch)
起毛していない表面と起毛している裏面を持ちます。
ストレッチ性と通気性の良さが特徴です。
通気性を重視する部位やフィットさせたい部位、脇や袖、裾等にサーマルプロと合わせて使われます。
所有するサーマルプロ ジャケット
基本的にメーカーが変わっても素材は変わりません。
そして構造も最適解が見つかったのかメーカーが変わってもほとんど変わりません。
それでも縫製やパターンに微妙な違いがあります。
逆に言うとサーマルプロであれば素材はだいたい同じなので僅かな差は妥協して安いメーカーを選ぶのもありかもしれません。
数着あっても困りませんのでまずは安いものから手に入れるのも有りです。
マウンテンハードウェア モンキーマン フリース ジャケット
最もオススメするサーマルプロ ジャケットがマウンテンハードウェアのモンキーマンフリースです。
特徴はボーダー状のサーマルプロです。これによってさらに通気性や柔らかさが増しかさばりも抑えられています。(最新ではボーダー状ではなくなりました。)
脇のパワーストレッチ部分も他社とは違い水を弾くソフトシェルの様な素材です。
他よりも硬いパワーストレッチですが配置バランスも最も考えられており不満はありません。
襟も比較した中では一番高さがあり、それでいて首がきつくない絶妙なバランスでネックウォーマーいらずです。
身幅や着丈、襟、のバランスやパターンも完成されていて内側にたくさん着込んでも、アウターのインに着ても肩が凝りません。
縫い合わせが全てフラットロックシームであることも特徴で合わせ目がゴロゴロしません。
無理やり見つけた不満としては肘がパワーストレッチでは無いことです。これはモンキーマンに使われるパワーストレッチが硬い素材なので着心地を優先してのことかもしれません
胸ポケットは別パーツ式で、インポケット式よりも物の出し入れがしやすく外に生地が広がるので容量も大きくなります。
腰ポケットはメッシュ構造でベンチレーション機能も備えているのですが内側から見るとポケット内部が全面に広がっています。
内部が広いのでグローブの様な大きな物もしまえるしベンチレーションとしての機能も抜群です。
実は一時期は二点持っていました。
羽織りやすい様にサイズを上げてもう一点、生地がボーダー上では無い最新モデルです。
違いはボーダー状ではない生地、脇のパワーストレッチがポケット部分の下だけ、袖口が一周全てパワーストレッチになってることです。
デザインが変更になった袖口がいまいちのため手放してしまいました。
せっかくのパワーストレッチなのに袖口がすぼまっていないのです。
緩くてそのまま手にかかってきます。
ホグロフスとの比較をみるとかなり袖口が大きいことがわかると思います。
基本的にアウトドアウェアの海外モデルは袖が長めです。
実際に外国人の手が長いこともそうですが、手を伸ばしたり姿勢を変えても袖先の位置が常に一定になる様にこの様に作られています。
オーバーサイズ だと余計に袖が長くなってしまったので、ジャストサイズを選んでいればこの問題は起こらなかったのかもしれません。
ボーダー上サーマルプロのモンキーマンは袖先がサムホール付きで親指を通せる様になっていて袖口のすぼまりもちょうど良い作りでした。
ホグロフス セクターII ジャケット
北欧デザインのシンプルな美しさとカラーリングの美しさがホグロフス最大の特徴です。
手持ちでは最大面積のサーマルプロが使われているジャケットです。
厚みもある気がします。
パワーストレッチは襟とフロントジップ、裾、肘、袖口と最小限。
肘から袖口は耐久性を考えてのこと、フロントジップは毛を巻き込まないためかもしれません。襟も適度な高さでバランスが良いです。
他モデルと違って脇にパワーストレッチを一切使っていません。
サーマルプロはトロトロの柔らかさとしなやかさがあり伸縮性は横には伸びますが縦には伸びません。
それでも一切つっぱりは感じません。
胸ポケットはインタイプで貼り付け式よりもベンチレーション機能に優れています。
腰ポケットは内部が胸元から裾までがメッシュで袋状なので服の内側からポケットとしても使えます。
かさばるグローブやタオルを入れておくことが可能ですが便利かと聞かれれば不明です。
ホグロフス ゾーンジャケット
同じくホグロフスのゾーンジャケットです。セクターIIジャケットの前モデルです。
ホグロフスは後発ほどサーマルプロの面積が大きくなっていきます。
ゾーンジャケットは脇がパワーストレッチでセクターIIジャケットより僅かにフィットするパターンです。
袖先と襟元と裾先がパワーストレッチなのも汚れづらくて良いデザインです。
オーソドックスでスタイリッシュなデザインです。
さらにどのカラーリングも驚くほど美しいです。
一番古いモデルだけあって機能性はもう一歩です。
胸ポケットはありませんし腰ポケットの面積が小さいです。
ですがそこまで気になることではありません。
これは古着で購入しました。毛玉一つない極上品でした。
古着でも全然安くならないパタゴニアと違ってホグロフスは格安で売られていることもあるので状態さえ良ければ探す価値ありです。
古着なら毛玉が一つの目安です。ごく僅か程度とチラホラあるものでも価格差はありませんので毛玉が無いものに限り購入をすすめます。毛が痩せたり風合いが変わっているものは論外です。
パワーストレッチは毛玉ができやすいので毛玉が無いということは使用がかなり少なかったということになります。
毛玉や毛羽ができてしまうとカットしてもすぐに再発してしまいます。
ホグロフス ゾーンベスト
ゾーンジャケットのベストです。
アームホールがパワーストレッチなのでピッタリフィットします。
羽織として使ってもいまいち暖かさを感じませんがきっと保温されているはずです。
袖が無いので何か作業をする時に向いています。サーマルプロの毛はゴミやカスが入り込みやすく毛の中深く埋まっていると洗濯しても落ちないことも多いです。
その場合は衣類ブラシが効果的です。
ベストの一番の利点はジャケットのインにしてもサイズ感や着心地の変化が少ないことです。
例えばレザージャケットやMA-1やコートのインナーです。アウトドアジャケットと違ってアームホールが太くないジャケットのインでもベストなら窮屈にならずに着れるのは便利です。
パタゴニア R3 ジャケット
うんざりするほどテクニカルなのがパタゴニアです。
私は登山用は全てアークテリクスでパタゴニアには全く興味がありません。
ですがアークテリクスにサーマルプロが無いことと、買い足すに当たってバリエーションが欲しかったのでパタゴニアに手を出しました。
今は無いR3というモデルです。
当時はR2よりも保温性の高いサーマルプロとパワーストレッチの面積が小さいことで差別化されていましたがパタゴニアもそこまでの厚みは不要と考えたのか、今は名前だけ残して全く違うモデルになっています。
パタゴニアR史上最も手が込んでいて丁寧な様に感じます。
最新モデルになるまではしばらくRは体に沿うトリムフィットでした。
縫い合わせは全てフラットロックシームなのですが堅牢度が他社よりも明らかに優れています。
サーマルプロもフラットに見えて汗抜けが良い様に毛の植え方に特徴があります。
モデルチェンジを繰り返している中で最もテクニカルなデザインだった様に感じます。
肩は極端に内側に絞り、パワーストレッチはサイドパネル全体と肘から袖先を複雑な曲線で切り替えています。
身幅もアームホールもとても細いです。
裾はパワーストレッチではなく伸縮性の強いパイピングです。
ストレッチが強すぎてまくれてきます。
一度腰までずり上がると自然に下がりません。
パタゴニアはアームホールが細いと言うか脇が高い印象です。
脇が左右にきついのではなく上下にきつい印象で脇に食い込んできます。
インナーを体にフィットしたものにしないと着心地がかなり悪いです。ジャケット自体が袖も胴体も体に吸い付く様にフィットしますのでランニングや登山には一番向いています。
他がローゲージニットくらいならパタゴニアはハイゲージニットくらいのフィット感のイメージです。
パタゴニア R2 ジャケット
R3よりも高年式のパタゴニア R2 ジャケットです。
肩の縫い目が配され完全なラグランスリーブ、脇から袖先まで下側が全てと袖口が切り替えられています。
裾の絞りはちょうどよく襟も高めです。
ディテールとしては旧R3の不満点が全て改善されています。
相変わらずのタイトフィットなのでこちらはワンサイズあげたMサイズを選んでいますが袖は少し長めです。
脇下から袖先まで全てが切り替えられています。
他社とは違って切り替えはポーラテック パワーグリッドと言う裏面がグリッド構造でさらに汗抜けを重視した素材が使われています。
これはR2以上に評判の良いR1に使われている生地なのですが他社には無い強みです。
襟は高めです。
前側はモンキーマンより1cm高く後ろ側はモンキーマンより1cm低いです。
モンキーマンとR2はそれぞれの思想の違いを感じて面白いです。
モデル比較
肩幅コンパクトでアームホールや身幅は程々、体型に一番合うのがモンキーマンでした。
縫い目はフラットロックシーム、セットインスリーブですがネックの付け方や肩の収まりが私には一番合っていました。
R3は全体がタイトです。一番大きいセクターIIと比較してかなり差があります。サイズはワンサイズ差があるのですがそれ以上の差を感じます。
襟の高さはモンキーマンフリースが一番高いです。それでも顔にかかったり首が苦しくならない絶妙な襟の広さです。
R3はタイトフィットで息苦しさを感じさせない様にするためか、首回りが広く襟がかなり低いです。アウトドアジャケットは襟が必ずありますので収まりを良くするために襟がある程度の考えなのかもしれません。
セクターIIはパワーストレッチですがフィットしすぎる程の細さでもないので襟があることを忘れる様な自然な仕上がりです。
裾は圧迫感を感じない様にある程度広さがあって面で押さえる方が好みです。
セクターIIは裾にゴムが入っていてアジャスターが左右に付いているため少しゴロゴロして邪魔ですし、細くてゴムが強すぎるR3もいまいちです。
硬めのパワーストレッチで収まりが良いモンキーマンが裾も一番好みです。
R2もストレスが無く隙間もできない絶妙な強さです。
パタゴニアはラグランスリーブのため総じて首から肩にかけての角度が急です。
そのため生地が腕側に引っ張られて首の付け根にストレスがかかり肩がこります。
R2は脇に余り生地をアコーディオンの様に織り込んで腕生地が突っ張らない様になっているのですが上側の生地が張るので効果は感じません。
これは形状の問題なのでサイズを上げても完全には解消されません。
モンキーマンの様なセットインスリーブとどちらが良いかは人によると思います。
まとめ
基本的な作りを変えずにアップデートを続けてきたモンキーマンがやはり一番安定感があり完成度が高いと感じました。
数年おきに大きくモデルチェンジをするR2(R3は廃盤)は2019あたりからフィットを緩めてモンキーマンに寄せてきました。(好みの違いですが同一モデルでありながら改善ではなく試行錯誤を繰り返すというのは私は好きではありません。)
R2は2019?のモデルチェンジで身頃もアームホールもゆとりができて肩から袖には縫い目が無い1枚生地でできています。
サイドパネルははっきりとしたグリッド構造のパワーグリッドが使われていますし全体の縫製も一番しっかりしている様にも感じます。何より小さな修理なら無料で行なってくれることがパタゴニアの強みです。
値段はモンキーマンと同じくらいです。
襟の高さとサイドパネルの生地の違い、パターンによる着心地の差、そしてパタゴニアは貼り付けロゴに変わりました。マウンテンハードウェアのロゴは単なるメーカーロゴですがパタゴニアはかつては非常に高価でファッションブランドと言っても良いブランド力もあります。
90年代にはダサいと感じていたパタゴニアのロゴパッチが今はとてもお洒落に感じてしまいます。
ホグロフスは今はアシックスに買収されて北欧らしさが見る影もありません。
どうにも興味が持てず一時期は全てがホグロフスでしたが今ではサーマルプロジャケットだけ手元にあります。
また所有はしていませんがマムートのゴブリンジャケットもシルエットが良いとのことで街着としても評判が高いです。
各ブランドからサーマルプロジャケットは発売されていますが試着して体に合うかどうかが最も重要だと感じます。