春の陽気に誘われてローファーの目覚め 〜JOHN LOBB LOPEZ〜
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我が家の靴棚は30足以上は収納できますがそれでも収集家として欲が尽きることはありません。
一時は同一モデル不買の誓いを立て、同じモデルは色違いであっても買わない、形やディテールに変化を持たせる様に意識して集めてきましたが何十足も揃ってくる中で、無理に靴を買う意味もわかりません。
今は同じモデルであってもそれぞれ使う場面を想像して色やソールや素材もセットで考えるようにしています。
考え方を変えたせいでせっかく落ちてきた収集ペースは下がり切ることも無く、スエードやブーツといった明らかな冬物とローファーという明らかな春夏物を入れ替え制にすることで、結局靴の収集は止まっていません。
3月になりローファーを二足出して暗い色のスエード靴と入れ替えました。
他にブラックのローファーもあるのですが、さすがに同じロペスでは味気ないのでモードな雰囲気がぴったりな7000ラストのものを選びました。
ローファーですがデザインは内羽根モデルの紐をとっただけですので通年用の扱いです。
しかし、いざ二足のロペスを並べると完成されたデザインとバランスに、黒もロペスが良いのかなと思えてきて7000ラストのローファー(ブラインドフルブローグ)は手放されることになるのかロペスと同居することになるのか、、、悩みが増えます。
クロケット&ジョーンズ製 ロペス
コンビのローファーがいわゆる旧ジョンロブ、最初期のC&J製 約30年前の靴です。
ローファーですので爪先は丸いのですが、現行に比べるとシャープ、特にサドル部分の細さがスタイリッシュです。
細身ですがなんとなく古臭いラスト。しかしどんな服装にもなぜか馴染むし歩きやすいので重宝しています。
コンビカラーも合わせにくくなるはずが特に意識することもなく色々な服と合わせることができます。それでいてこの靴を履くだけでお洒落に感じます。
踵の内側がスエード生地に切り替えられており脱げにくくなっていたり、モカ抜いが手縫いではなく機械縫いであることが現行との大きな違いです。
90年代前半の靴ですので革は磨くと昆虫の外殻の様に輝き、縫製の運針はとても細かいです。
ロペスに関してはC&J製ではブラック、ブラウン、そして現行のコンビも持っていましたが、どれをコンビにするかと言えばこのC&J製で自然とこの体制になりました。
ブラックやブラウンのC&J製は色味も形も野暮ったくて手放してしまいました。
さらに現行の限定コンビは色味が派手で自然体で合わせやすい、とも言えませんでした。
私にとって厳選された中の一足がC&J製コンビロペスなのです。
ジョンロブ製 ロペス
ジョンロブ製となるとコインローファーであってもラグジュアリーさが感じられます。
モカ抜いのハンドステッチもそうですが、ラスト全体がメリハリの聞いたグラマラスな曲線で作られています。
踵の丸さと履き口のすぼまり方、土踏まずの内外のくびれ、ソールから甲全体が丸く包まれる様な形状は全てが複雑な曲面で滑らかに繋がっており、甲の立ち上り方も端正です。
ブラックであっても学生靴の様にはならず大人の男の色気、余裕を感じさせます。
甲のサドル部のみがモスグリーンスエードに切り替えられたブラックモデルがハワイのレザーソール別注でありましたが猛烈な格好良さでした。
同一モデル不買の誓いを立てていた頃はブラックのローファーならノーズが少し長めのフェンコートを考えていましたがこれを見てからは一気に心はロペスへ。
むしろ普遍的なデザインのコインローファーに洒落たロングノーズは似合わないという考えに変わりました。
その誓いも破棄した今では、もしオーダーするのなら同じ様に甲をネイビーまたはダークグリーンのスエードにしたロペスが欲しいとの思いを抱えています(恐らく個人のMTOで異素材やコンビはできないと思いますが……)。
そのグラマラスなラストのせいでマダラの強いミュージアムカーフや明るいコンビにすると遊びや華美な雰囲気が出過ぎてしまい合わせる服や場面を選ぶ靴となります。
地味なデザインだからと追加追加で盛っていくのではなく「引き算の美学」こそが普遍的な衣類には大切な要素だと考えています。
インスタや髪型、化粧、食べ物、常に盛り盛りばかりを宣伝しそれがウケてしまう現代は、基礎が貧相になる悪循環を生んでしまっているとの思いを持っていますが時代の流れを否定するよりも自分らしさの探求に取り組み続けたいと思っています。
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