自分でできるか革靴修理 【ジョンロブとエドワードグリーンのストレートチップを染め替えてみた】
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ブラウンのストレートチップが手元にいくつか転がっております。
エドワードグリーンとジョンロブの双方、何度か履いてみていまいち赤味のあるブラウンが私には似合わず、黒ければなぁと思いながら気づけば履かずに眺めるばかり、そこで試しに黒へ染めかえることにしてみました。
なぜ自分で染めるに至ったか
それまでも染めかえは自分で数回試みたり専門ショップへ依頼したこともありました。
顔料で塗り重ねているお店はHPでは綺麗に仕上がった画像を載せていますが実物は合皮の様なのっぺりとした結果にしかならないので注意が必要です。
染料のみでお願いできる場所を探し話を聞いてここならと思って依頼したのですがそれでも仕上がりはイマイチでした。
当時は専門で染め替えを行っているお店でも自己流という感じだったのですが、今では海外でパティーヌを学んだりシューケア用品ブランドともつながりのある専門ショップがあるようです。
染め替えも少しずつメジャーになり出来栄えも良く価格も下がってきた様に思います。
勇気が出れば、いつかまたショップに依頼したいと思っております。
革靴染め替えの失敗経験
これまでも何度か染色を行なっています。
自分で染め替えた時も依頼した時もぱっと見は良いですが、シワや履いた後の革質や風合いの変化に納得がいきませんでした。
色自体は一見すると綺麗なのですが、外へ履いて出かけるとノッペリとしていて革のキメも無くなっている気がするのです。
クリームや仕上げのワックスは染色前より馴染みが良くて磨くと簡単に光る様にはなっているのですがこれは革表面が荒れてしまったからに違いありません。
メンテ直後の見てくれは良いのですが水がつくと簡単にシミになったり(乾けば何も無かった様に元どおりにはなります)屈曲シワが太く顔料を塗ったかの様な安っぽい風合いなのです。
何度かの試作の結果、アセトンやリグロインを使って色を落とししたことが革の劣化の原因の様に感じられました。
溶剤を天然の皮革に対して使ったのですから当たり前と言えば当たり前ですがこれらを用いた染め直しをしない方法を考える様になったのです。
しっかりとした専門ショップであれば痛みを抑えた下地作りができるのかもしれません。
失敗から学んだ自己流染め替えのポイント
私は染め替えにおいて革質の変化の少なさを重要視しているので、今回はアセトンやリグロインで色を抜かないことに決めました。
もしかしたら色を抜く度合いにもよるのかもしれませんが中途半端に使うぐらいなら使わないでどうなるか試してみたかったのです。
元の色と使う色のバランスを考えて使わないと思った色にはなりませんでしたが革の痛みはいくらか抑えられた様に見えます。
染料やアルコールにも革を硬くする影響はあるのですがこれは水で濡れた状態で染めると良いとの情報があり確かに効果があった気がします。
今回以降、何度か同じ方法で靴を染めています。
染め替えに必要な道具
筆
一回で染料を吸いすぎる筆よりも毛量の多すぎない筆の方が向いている気がします。
何度も薄く表面に塗り重ねられる方が自然な色ムラ加減も作りやすく使用して退色した際の雰囲気が良いです。
筆は適度な太さの平筆と適度に細い面相筆の二本あると便利でした。
染料
値段は高いですが染まりやすく耐候性が高いと言うフィービング社のプロダイを使っています。
オイルが入っており革を固くしにくい様ですがそれでも革が固くなります。
あまり一度に塗り重ねすぎるとオイルが表面に浮かんできてミンクオイルを塗りすぎた様な風合いになってしまいますので注意が必要です。
アメリカ製品らしく容器が非常に使いにくいです。
革用染料なので肌に付くとものすごく落ちにくいのですが、蓋の開閉の度に染料が蓋の溝につき蓋の開け閉めに気を使います。
染料が容器本体の外側に付くと油性染料のせいか1年経っても乾きません。
毎回拭き取りが必要です。
他には、入手は難しいですがサフィールがとても気になります。
アルコール(水)
プロダイは油性染料でアルコールで薄めると書いてあります。
水でも薄まるし革をよく水で濡らしてから使えと説明しているサイトもあります。
初めての頃は乾いた状態で直塗りしてムラ感が思った様にいかず失敗してしまいました。
やはり革を濡らした状態の方が良いです。
染め替え作業
下地作り
アセトン、リグロインで脱色はしないと書きましたが、これは高級な靴が顔料仕上げを行なっていないからできることなのだと思います。
それでも表面のクリームはリムーバーでしっかりと落としてサドルソープでも通常より入念に洗う様にしています。
洗いすぎて銀面が荒れない様に注意します。
手持ちのサドルソープは泥だらけのブーツにも対応可能なヘビーなものでドレスシューズをブラシで洗いすぎると地の色も落ちてしまう程強力なので染め替え用には都合が良いです。
染色
表面が濡れて色が濃くなった状態で染色を開始します。
この時は黒一色に染めるので染料は薄めませんでしたが、薄めて何度も乾かして塗り重ねた方が奥まで浸透しやすいと思われます。
一度塗りではダークブラウンの様な色までしか染まりませんでした。
色を抜いていないのでなんとなく紫がかって見えます。
乾く前に塗り重ねすぎると染料の油分が風合いを損ねるので、塗ったら布で余分な染料を拭き取り、乾いてから塗り重ねました。
室内では黒一色に見えても強い光を浴びるとダークブラウンやムラにしか染まっていない場合もありますのでその場合は再度塗り重ねます。
特に爪先は染料が入りづらく、ある程度のムラ感を味として最初から計算して染めると良いです。
結論
ショップであれ自分であれ風合いの変化は起こります。
革質の良さを気に入っている靴であれば染め変えはオススメできません。
色と風合い、優先すべきは何かを慎重に考える必要があります。
爪先や切り替えに色を入れるアンティーク加工から始める方がまだ良さそうだと思います。
とは言え、今回は自分で染めたにしては良い完成度ではなかろうかと思います。
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